
ゲーム業界に入りたいのですが、知人に「やめとけ」と言われてしまいました。ゲーム業界に入らない方が良いでしょうか?
このような悩みに答えます。
- ゲーム業界はやめておいた方がいいのか?
- ゲーム業界はやめとけと言われる10の理由
- ゲーム業界で働く6つのメリット

この記事を書いている私は現役ゲームプランナーです。
2021年11月現在は、人気スマホゲームのディレクターをしています。
「ゲームが好きでゲーム業界を志しているけど、周りにやめておけと言われる」
ゲーム業界を志す中で、「ゲーム業界はやめとけ」なんて言われたら怖くなっちゃいますよね。
しかし、ご安心ください。ゲーム業界はおすすめです。
本記事では、ゲーム業界はやめとけと言われてしまう10の理由を解説した上で、ゲーム業界で働く魅力も紹介します。
「ゲーム業界はやめとけ」と言われる理由を知って不安を解消しましょう。

現役ゲーム業界人のワシがぶっちゃけるぞい。
ゲーム業界はやめておいた方がいいのか?
結論、ゲーム業界はおすすめできます。
なぜなら、世界的にはもちろん、日本国内も市場が成長している業界だからです。
世界のゲーム市場

日本国内のゲーム市場

ご覧の通り、2011年から常に右肩上がりの市場であり、直近1年は市場が30%以上成長するなど将来性も抜群です。

緊急事態宣言の影響がないのも素晴らしいのう。
正直、現在ゲーム業界にいる僕からすると、「ゲーム業界はやめとけ!」と言っている方々は、本当は詳しくないor昔の状態しか知らない人だと思っています。
ただ、ゲーム業界ならではの辛さから、「やめとけ」と言われる理由もわかります。
次の章では「ゲーム業界はやめとけ」と言われる具体的な理由を紹介するので、自身の想像とギャップがないか確認してみてください。
ゲーム業界はやめとけと言われる10の理由
成長市場にあるゲーム業界が「やめとけ」と言われる理由は以下の10個です。
- 過去の超過酷労働
- 常に人手が不足している
- 残業が多い
- 優秀な人と比べて絶望する
- 実力主義
- 離職率が高い
- 常にマルチタスク
- コミュニケーション量が多い
- ゲーム会社によって格差が大きい
- 社会人マナーが身につかない
それぞれ解説します。
理由①:過去の超過酷労働
「ゲーム業界はやめとけ!」と言われる理由でダントツに多いのは、過去の超過酷労働でやめて行った人たちの意見です。
過去のゲーム業界は、月100時間以上の残業、もちろん土日も出社し、会社で寝泊りすることも…
しかし、これはあくまで過去の話です。
現在は、36協定で過剰な残業は国から企業に罰則が与えられるようになりました。
36協定とは、労働基準法36条に基づく労使協定であり、企業が法定労働時間(1日8時間・1週間で40時間)を超えて労働(残業)を命じる場合に必要となります。
出典:36協定とは何ですか?|en人事の味方

労働者が36協定によって無制限に労働を強いられないように、時間外労働は「月45時間・年間360時間」という上限が決められているんじゃ。
さらに、働き方改革で労働環境も整備されています。
働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。
出典:働き方改革の実現|首相官邸
そのため、「ゲーム業界はやめとけ」といっている方々が体験した厳しいゲーム業界の姿はどこにもないので、ご安心ください。
理由②:常に人手が不足している
ゲーム業界は以下の理由から常に人手が不足しています。
- 市場が伸びている
- 未経験をほとんど採用しない
- 実力者はすぐにキャリアアップしていなくなる
市場が伸びているため、各社新ゲームの開発を進めているのはもちろん、新たなゲーム会社も増加傾向にあります。
タイトルや会社が増えれば人手も必要になるため、採用活動が盛んだというのが大前提です。
さらに、ゲーム会社は未経験者をあまり採用しない特徴もあります。
そのため、実力者は現在の所属企業よりも良い条件でキャリアアップするので、人の出入りも多いです。
人の出入りが多い=残された人の負担が増えることから、「ゲーム業界はやめとけ」という人もいます。
理由③:残業が多い
ゲーム業界は他と比べて、平均残業時間が多い傾向があります。
年収 | 残業時間 | 働きやすさ | |
他業界平均 | 441万円 | 24.9時間 | – |
ゲームプランナー | 499万円 | 45.3時間 | ◯ |
筆者 | 650万円 | 20時間 | ◯ |
※残業時間の根拠はdodaの90職種別の残業時間ランキングから引用。

働き改革が浸透し始めた昨今だと、全体的にもう少し下がると思うぞい。
しかし、そのぶん年収は高い傾向にあるので、一長一短という感じです。
※給料は求人ボックス給料ナビから引用。
他業界の平均よりも残業時間が多いことから「ゲーム業界はやめとけ」という人もいるかもしれませんね。
ちなみに筆者は、1日1時間の残業があるかないかという具合です。
理由④:優秀な人と比べて絶望する
ゲーム業界はアイデア勝負な側面もあるので、優秀なアイデアマンと自分を比較すると落ち込みます。
企画で決まるものの一部
- 新ゲームタイトル
- ゲーム内イベント
- 新たな仕様
- UI
- 販売物(ガチャなど)
- キャラクターの設定
他のプレゼンを聞くうちに「自分はそんなに面白いアイデア思い浮かばなかった」と感じることも多いです。
しかし、ご安心ください。企画の才能がある人だけが認められ、昇進していくわけではありません。
- 企画が得意→プランナー
- 内容指示や進行管理が得意→ディレクター
- 組織管理が得意→マネージャー
- デザインが得意→デザイナー
- お話が得意→ライター
- プログラミングが得意→エンジニア
- チェック作業が得意→デバッカー
実際に僕も企画が苦手で良いアイデアは出せませんが、ディレクターとして力を発揮しています。
自身の失敗体験から去った人は「ゲーム業界はやめとけ」という人もいますが、ひとことにゲーム作りといっても多様な役割があるので、担当上長と相談しながら能力にあったキャリアを作ればOKです。
理由⑤:実力主義
ゲーム業界は年功序列ではなく実力主義です。
評価は成果物と担当タイトルの売り上げが基準にされます。

同期でも3年経てば、給料・ポジションに大きな差がつくぞい。
そのため、「仕事は二の次、趣味中心の人生を送りたい」というような人にとっては酷な業界です。
なので、「歳を重ねるごとに少しづつ給料が上がればいい」という人は「ゲーム業界はやめとけ」と言われても仕方ありません。
理由⑥:離職率が高い
ゲーム業界は離職率が高いです。
なぜなら、ポジティブな理由で転職する人が多いからですね。
ゲーム業界の主な離職理由
- 収入やポジションアップ(キャリアアップ)
- 別会社のゲームを開発・運営するため
- 新規開発⇆タイトル運営したいため
ゲーム業界は経験者しか採用しない閉鎖的な業界であると同時に、経験者は非常に優遇されます。
そのため、経験を積んだ後はキャリアアップで転職するのが主流です。

良くも悪くも転職がカジュアルに行われる傾向があるんじゃよ。
他にも担当タイトルの開発やサービス終了を機に、好きなゲーム企業に転職する人も多くいます。
外から見ると「離職率が高い=つらい」というイメージなので「ゲーム業界はやめとけ」と言われがちですが、実は業界内はポジティブな離職で人を循環させているだけです。
理由⑦:常にマルチタスク
ゲーム業界はひとりで複数の仕事を同時進行するため、常にマルチタスクです。
次々にやってくる納期を自身の管理能力で捌いていくので慣れるまで骨が折れます。

コンビニバイトのレジを見つつ、品出しもする感覚に似てるぞい。
そのため、マルチタスクに慣れる前に退職していた方からは、「ゲーム業界はやめとけ」といわれてしまうかもしれません。
理由⑧:コミュニケーション量が多い
ゲーム業界は他業界と比べてコミュニケーション量が多いです。

世の中のゲーム業界に対するイメージは、黙々とゲーム作りをしている内向的なイメージじゃが実は違うんじゃよ。
理由は、各々のポジションが密に進捗を確認するからですね。
ゲームは「プランナー・エンジニア・デザイナー」の3ポジションが互いに協力しあって1つの作品を作り上げます。
そのため、コミュニケーションロスはミスに直結し、最悪の場合納期に間に合わなくなってしまいます。
コミュニケーションが苦手な人は「ゲーム業界はやめとけ」と言われても何ら不思議ではありません。
理由⑨:ゲーム会社によって格差が大きい
これはゲーム業界に限らずですが、会社ごとの格差は大きいです。
成長している市場ということもあり、ベンチャーのゲーム会社も多くあります。
入り口が拡がったぶん、粗悪な会社も増えているのは事実です。

5年もたない会社がほとんどじゃ。
前述した通り、ゲーム業界は経験者の選択肢は広いので、1度ベンチャー企業で1〜3年ほど経験を積んだ後は、福利厚生が整っている大企業に転職してしまうのも良いでしょう。
ちなみに未経験入社だった筆者は、ベンチャー企業1年→中小企業2年→一部上場企業とキャリアアップしました。
理由⑩:社会人マナーが身につかない
ゲーム業界は驚くほど一般的な社会人マナーが必要ありません。
- 欠勤・遅刻しても咎められない
- 仕事中にゲームをしたり、音楽を聞いていてもOK
- 私服通勤、サンダルもOK
- 離席自由、コンビニでお菓子買って食べていても問題なし
- やりとりはSlackやChatWork(メールは一切使わない)
- 日報や掃除当番など新卒面倒臭いシリーズなし
- 名刺がないところが多い

ワシも転職して3年ぐらいは慣れなかったぞい。
納期に間に合わせれば何をしても良い状態になっています。
転職初日にソシャゲの周回をしながら働いている人を見たときは衝撃的でした…。
ゲーム業界で働く6つのメリット
「ゲーム業界はやめとけ」という人もいますが、もちろんメリットも多くあります。
ゲーム業界で働くメリットは以下の7つです。
- ゲーム好きだらけの環境で働ける
- ワークライフバランスに優れている
- ゲーム関係のイベントに無料で参加できる
- キャリアが育てやすい
- ユーザーから反応でやりがいを実感できる
- ゲームのエンドロールに名前が載る
それぞれ解説します。
メリット①:ゲーム好きだらけの環境で働ける
ゲーム業界は9割以上がゲーム大好き人間です。
好きすぎるが故に仕事にした人がほとんど。

ワシはゲームオタクとしか出会ったことないぞい。
なので、「職場の人と話が合わなくて辛い」みたいなことは絶対に起こりません。
普段の世間話もゲームやアニメ、声優トークが中心です。
同じ趣味の人と過ごす時間は本当にストレスフリーですよ。
メリット②:ワークライフバランスに優れている
ゲーム業界はワークライフバランスに優れています。
ゲーム業界が働きやすい理由
- フレックスタイム
- リモートワーク
- 遅刻・欠勤が咎められない
- 服装・頭髪自由

ワシはフレックス+リモートワークだから、いつも10時にゆっくり起きて家で仕事してるぞい。
働く場所、時間はもちろん、外見も自由です。
「前日2時間残業したから、翌日は午後から出社しよう」
「夜からゲーム内イベントがあるから8時に出社して16時に上がろう」
「通勤電車が苦手だから家で仕事をしよう」
このように自身のプライベートや体力に合わせて勤務時間・場所も自由に変えられます。
メリット③:ゲーム関係のイベントに無料で参加できる
ゲーム業界人はイベントに関係者として無料参加できます。
例えば、毎年開催されているTOKYO GAME SHOW(通称:TGS)も無料参加可能です。
実際にTGSビジネスデイに参加したときの様子


関係者限定のビジネスデイで参加できるので、風景写真を見てもわかるようにガラガラです。
一般参加した人はわかると思いますが、イベント当日は人が大勢いてゆっくり遊ぶ余裕はありません。
ビジネスデイなら全てのコンテンツは並ばずに体験できるので、控えめにいって最高ですよ。
メリット④:キャリアが育てやすい
ゲーム業界は短い期間で様々なタイトルを担当できるため、キャリア形成がしやすいです。
3年も従事すれば2〜3タイトルは担当できるので「○○と○○のタイトルを担当しました」と転職時にアピールができます。
そして、ゲーム業界は転職時に給料が大きく変わるため、結果的に3年に1度待遇を大幅にアップ可能です。

ワシは未経験から入社時は年収350万円ほどじゃったが、3社目を迎えたときは年収600万円を超えていたぞい。
メリット⑤:ユーザーから反応でやりがいを実感できる
ゲームはSNSでユーザーの反応を見られるので、やりがいを実感しやすいです。
中には厳しい意見もありますが、自分の作ったゲームを世の人にプレイしてもらえるのは想像を超える喜びがあります。
初めて自分が担当したイベントを「楽しい」といってもらえた感動は今でも覚えています。

日々やりがいを感じられる=仕事に目的を持ちやすいので、モチベーション維持にも優れているぞい。
メリット⑥:ゲームのエンドロールに名前が載る
担当タイトルのエンドロールには自分の名前が刻まれます。
これは人にもよるかもしれませんが、ゲームや映画のエンドロールを見る中で「自分もいつか載ってみたい」と思った人も多いはずです。
もし、該当タイトルがヒット作となればあなたの名前はこれから何十年とゲームユーザーの目に触れる可能性があります。
本名かHNのいずれかを自由に選択できます
直接的なメリットとは言い難いですが、ロマンを感じますよね。

ワシはエンドロールに載るたびに、めちゃくちゃスクショしてるぞい(笑)
まとめ:ゲーム業界はやめとけというのは古い意見、まずは業界研究からはじめよう
結論、「ゲーム業界はやめとけ」という意見は古い意見であり、現在は市場・労働環境いずれも整った働きやすい業界といえます。
もし本記事で不安が解消したら、次のステップである業界研究をしてみましょう。
次のステップは業界研究
- 転職サイト、エージェントに登録
- 募集要項から仕事内容、求められるスキルを確認
- 該当企業の公式HPから直近の発売・運用タイトルを確認
- 気に入った企業があれば就職活動を開始
仕事にしたいほどゲームが好きなら間違いなく適正があると言えます。
ゲーム業界の未来のために一緒に働けたら嬉しいです。
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